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オンライン動画教材「オープンサイエンス時代における研究データマネジメント基礎」をマイクロコンテンツ形式で公開:学びたいとき学びたい分だけ

甲斐 尚人

25/9/16

大阪大学

 研究データ管理(RDM)の基礎を体系的に学べるオンライン動画教材「オープンサイエンス時代における研究データマネジメント基礎」を、2025年6月10日に国立情報学研究所が運用する学認LMSで公開しました。

 本教材は、「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」で大阪大学が開発した教材をもとに、九州大学およびJPCOAR研究データ作業部会が協働で改修したものです。研究者・学生・研究支援者がRDMに関する基礎知識をオンラインで学べる内容となっています。教材は研究データのライフサイクルに沿って、段階的に解説しています。各テーマは動画と理解度テストで構成され、合計約60分で全編を学習可能です。全体のコースを修了するとバッジ(デジタル認証)が発行されます。また、本教材は短い単位で構成されたマイクロコンテンツ(※1)形式を採用しており、関心のあるトピックだけを選んで学ぶこともできます。

 動画教材の基となる資料(pptxファイル、pdfファイル、mp4ファイル)はJPCOARリポジトリおよび大阪大学学術情報庫OUKAからCC BYで公開され、各機関での再利用やカスタマイズも可能です。本教材は、オープンサイエンス時代に求められるRDMの基礎知識を柔軟かつ効率的に学べるリソースとして、今後さらに活用が広がることが期待されます。

※1 数分程度で完結する小規模な学習素材で、必要な知識を必要なときに効率的に習得できるのが特徴。

(1) 教材改修の取り組み紹介(図書館総合展2024)

 図書館総合展2024において「JPCOAR研究データ作業部会におけるRDM教材作成の取り組み」として、本教材の開発の背景や改修の詳細を紹介しています。「研究データ管理支援人材に求められる標準スキル(ver.0.1)」(※2)と教材トピックの対応関係を可視化し、それに基づいてカリキュラムを設計した経緯を説明しています。また、大阪大学新任教員研修における教材の先行展開の際に実施したアンケート結果を踏まえ、受講者のニーズに沿った改修内容についても紹介しています。

 講演資料 講演動画

 図書館総合展2024におけるオープンアクセスリポジトリ推進協会関連のイベントをまとめた以下のページからも、講演資料・動画にアクセスできます。  https://jpcoar.org/support/event-archive/libraryfair-2024/

※2 国立情報学研究所オープンサイエンス研究データ基盤作業部会トレーニング・サブ・ワーキング・グループが公開した、研究データ管理支援人材に必要なスキルの指標。

(2) 教材を活用したセミナーの実践例

 私が登壇した文部科学省主催の「研究者のための+αシリーズ vol.35」セミナーでは、本教材を最新情報にアップデートし、制度動向や事例を加えて再構成しました。74機関から225名の申込みがあり、当日は156名の方にご参加いただきました。



 本セミナーは、今回紹介した教材を基にしたアレンジ版の一例です。講演後のアンケートでは、「分かりやすい資料と説明で、研究データやそのマネジメントについて理解を深めることができた。本学はリポジトリの運営もこれからというかなり出遅れた状態だが、今後何を意識していくべきかが分かった」、「現場で生じる具体例を活用しながらのQ&Aがいくつも示され、非常に身近で当事者意識を感じさせられる講演だった」といった声をいただきました。こうした反応からも、継続した教材のアップデートと対象者に適した教材のアレンジは受講者の関心と実務的な理解につながっています。

 講演資料 講演動画

 ぜひ皆様にも、公開している本動画教材をご視聴いただき、ご自身の環境や業務に合わせて活用していただければと思います。



文:甲斐 尚人(大阪大学)
JPCOAR研究データ作業部会 主査。大阪大学D3センター准教授。附属図書館研究開発室室員および研究推進本部オープンサイエンス推進室室員を兼務し、オープンアクセスや研究データ管理などオープンサイエンスの推進全般に携わる。学外ではNII研究データ基盤運営委員会委員、AXIESデータマネジメント部会副査なども務める。ウィーン大学Data Stewardコース修了。


※本記事のヘッダ画像はChatGPTの画像生成機能により作成しました。

本記事は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 ライセンスの下に提供されています。
ただし、記事中の図表及び第三者の出典が表示されている文章は CC BY の対象外です。
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