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RDUFとJPCOARとの協働を考える:RDUF公開シンポジウムを糸口に
南山 泰之 / 熊﨑 由衣 / 小林 裕太
25/3/21
国立情報学研究所 / 千葉大学 / 千葉大学
研究データ利活用協議会(RDUF)をご存知でしょうか? 産官学の有志からなる団体で、研究データの流通促進のためにガイドライン(「研究データへのDOI登録ガイドライン」ほか)の作成、提言やコミュニティ強化などの活動を行っています。RDUFはJPCOARと活動内容が似ているところもあり、またJPCOAR会員機関の方の参考になる情報発信も行っています。そこで、RDUFとJPCOARの両方に関わる南山と熊﨑とでRDUF公開シンポジウム(2024年12月開催)を振り返りつつ、RDUFとJPCOARとの共通点や相違点、協働等を考える対談を行いました。進行はシンポジウムに現地で参加した小林です。
メンバー ・南山泰之(RDUF企画委員会委員長/JPCOAR研究データ作業部会主査/国立情報学研究所) ・熊﨑由衣(RDUF企画委員会副委員長/JPCOAR広報・普及作業部会/千葉大学) ・小林裕太(JPCOAR研究データ作業部会/千葉大学)
RDUF公開シンポジウム
小林|まずはRDUF公開シンポジウムについて振り返りましょう。最初が招待講演で、「生成AI時代における研究データ共有の新たな展開」と題して情報科学技術協会/麗澤大学の清田陽司先生からお話しいただきましたけれども、いかがでしたか。
南山|生成AIの話題は2023年の段階から非常に盛り上がっていましたが、その使い方や研究の中での関わりなどについて、イメージが見えている人もそうでない人もいるという状況があったと思います。南山は熊﨑さんや他のRDUFメンバーと一緒に2024年度の公開シンポジウム企画をしており、そもそも生成AIがどういう経緯でできてきて、データの利活用が生成AIでどう変わっていくのか、といった内容を清田さんにお話いただけないか、とお話したことがきっかけになります。個人的には、データがオープンでフリーであることが前提の研究の世界から、徐々に産業に近づき価値が生まれてくるにつれてデータの囲い込みが始まり、さらにまた異なるデータをオープンにするような動きが出てきて、といったデータの歴史的な流れが見えて、非常に興味深かったです。
熊﨑|私は清田先生がIDR(情報学研究データリポジトリ)に企業データを提供されたこと、関連して研究と教育、コミュニティ全体の発展についてのお考えを伺えたのがとてもよかったです。
南山|RDUFって半分ぐらいは図書館員を始めとする研究支援者の方、もう半分くらいは研究機関や研究者の方がいらっしゃる場なので、図書館系の実務に限らない自由度の高い企画ができるおもしろさがあり、非常に貴重だと感じます。
小林|招待講演はこれから先の展開を見据えてどう考えていくかという足がかりになるような講演だったと思います。次のプログラムはRDUFの活動報告ですね。印象に残ったことはありますか?
熊﨑|企画委員会などでお話を伺っているので、すぐには出てこないのですが……。小林さんは現地で参加されていかがでしたか?
小林|研究データへのDOI登録促進やライセンスなど、これから先に我々が直面する課題に対してのガイドラインなどが既にRDUFから成果として出ているのが印象的でした。こういう成果物をもっと共有できたらいいですし、JPCOARの方々にもこれを機に知っていただけるといいのかなと思いました。
熊﨑|ありがとうございます。
小林|JDARN(Japan Data Repository Network推進部会)もかなり興味深いです。分野ごとのデータリポジトリ担当の方々が集まっていると思うんですが、ここまでのコミュニティや活動はJPCOARではたぶんまだできていなくて。JPCOAR研究データ作業部会での感触としては、研究データを主として扱っていこうとしている、あるいは実務面で困るところまでデータを扱う経験をしている人がまだそれほど多くないように感じます。それに比べると、かなり先を走っていて参考になるんじゃないかなと思いました。
南山|(コミュニティが立ち上がっているモチベーションとして)JDARNの方々に限らないかもしれませんが、データリポジトリに関わっている方は、研究者自身である、または研究分野に関する知識を持っているという体制上の理由が考えられます。また、JDARNでよく議論になりますが、ご自身が運営するデータリポジトリ自体が組織に根付いておらず、使われないサービスは維持できないという危機感から、意義や運用による効果を説明する必要を感じているという運営や体制の課題があります。そのためにデータリポジトリの国際認証取得に向けた検討などを共同して行い、データリポジトリの価値を高める活動に取り組んでいます。
熊﨑|活動の初期は小委員会として「CTS要求事項とアイテム」や「研究データリポジトリ整備・運用ガイドライン」など様々な成果物を出されていましたよね。
南山|信頼性に関する一定の要件を満たすリポジトリを認証するCore Trust Seal(CTS) の取得に関心のある方が集まって議論を始めたんです。その過程で日本でもデータリポジトリの認証ガイドラインが作れるといいよね、と話が及んでまとめたのがそのガイドラインです。
熊﨑|いまはどんな議論をされているんでしょうか。
南山|データリポジトリ運用上の課題を投げかけてコメントし合うなどの、実務的な情報交換をしています。
小林|データ共有・公開制度検討部会の活動報告に「お悩み相談会」を実施したとありましたが、JDARNの方々にも相談できるんですか?
南山|はい。RDUFにおける今年度の試験的な試みとして機関会員を中心にお悩みを伺い、課題の洗い出しをお手伝いしつつ、ざっくばらんな議論と交流の機会を設けることにしました。事前のヒアリングでは、データ共有や公開のお作法やデータに付与する利用条件に関するお悩みが多かったため、データ共有・公開制度検討部会のメンバーが主にお話しています。一方で、お悩み相談会自体は部会が主催する建付けになっていますので、データリポジトリに関するお悩みがあればJDARNにも尋ねられます。
小林|続いて、ライトニングトークとポスターセッションですね。ライトニングトークが7件、そのうち現地でポスターセッションをされたのが5件でした。
南山|全体的にシステムまわりの話が多くなったなという認識です。
小林|手前味噌ながら千葉大学と平木先生(NII)の研究データガバナンスの話以外は、割とプラットフォーム的な話でしたよね。一見システム系の人が集まるコミュニティにも思えますが、そうではないんですよね?
南山|はい、今回たまたまです。公開シンポジウムのライトニングトークは2021年度、個人会員の方々に発表の場を設けて利活用の事例を集めるという意図でスタートしました。以来毎年バラエティ豊かな報告をいただいています。システム系の話も当初はそれほど多くなかったと思いますが、こういった話題で発表や議論する場が少ないということなのかな、という気がします。
小林|確かに。図書館系だと日本でリポジトリがはじまった当初は開発などの発表も多かったのかなと思いますが、いまは状況が変わっていますね。Code4Lib JAPANもありますが少し性質が違うかもしれませんね。
熊﨑|これまでのライトニングトークのタイトルを見ると、開始当初の2021年はシステム系の話題も、データポリシー策定の推進に関するご発表もありました。そこから、ガバナンス、メタデータやRDMの教育・教材など各機関の取り組みも多様になっています。研究データの利活用というテーマでありつつ、いろんな切り口があり、また、現在の日本の状況を示しているようで興味深く感じました。
南山|その切り口は非常に大事で、今後深く理解したいなと思っています。RDUFは利活用協議会という名称ですが、利活用に関する課題のパターン化が難しくて。従来は、ライセンスやリポジトリなどの大きなキーワードのもとに小委員会や部会が立ち上がっていました。例えば教育や研修、アプリケーションの開発などの新しい切り口でもっと議論が充実してくると、発表もしやすく集まる場ができやすいのではないかと思っています。
小林|話題が戻りますが、ライトニングトークでシステム系の話題が出るのは、多様だから、だと思います。研究分野が多様だと汎用的なシステムを使いづらい人たちも出てきて、そうすると自分たちで構築してやっていかなきゃいけない。例えばJAMSTECさんの発表は岩石や生物のサンプルにPIDを付与し、公開システムを開発しているという内容でした。これはJAMSTECさんや地球科学分野だからこその課題の共有だと思うんですよね。やっぱりRDUFが多様だからこそいろいろな発表が出てきたのかなという気がします。
南山|そうですね。図書館という枠組みだと、もちろん大学図書館、公共図書館などと違いはあってもある程度扱っているものは同じなので、研究データにおいては議論を深めるのが難しい可能性もありますよね。研究者から「この岩石サンプルを扱っているが、図書館では何をやってくれるの」と言われたとき、まず前提知識がないと「岩石サンプルって何ですか」から始めることになります。
小林|大学においても、今後起こり得る課題や前提を把握・共有するのにとても参考になりそうですよね。

RDUFとJPCOARの活動や共通点
熊﨑|そういえば、今年のライトニングトーク発表者の所属機関はどこもJPCOARの会員なんですよね。JPCOARという枠組みでは見えてこない活動が、RDUFの場で発表されるのが興味深いです。
南山|確かにそうですね。RDUFに近いところでは、私が所属するJPCOAR研究データ作業部会の活動がそうかと思いますが、研究データ作業部会では参加メンバーが把握している課題にフォーカスしつつ、他方では課題の洗い出しのためにアンケート調査をしたり、その分析から次の活動を決めていったり、といった活動の進め方をしてきています。ですが、RDUFの方々に取り組みを報告する機会は意外となかったかもしれません。
熊﨑|私はRDUFの企画委員として、小委員会の活動を活性化したい、たくさんいらっしゃる個人会員の顔がみえて活動しやすくなるといいな、と考えています。JPCOARも会員機関が780ほどと大きな団体になっていて、アクティブな方を増やしたいのは同じではないかと思います。RDUFとJPCOAR、コミュニティとしての性質や活動は違うかもしれませんが、今の南山さんのお話だと課題の設定は通じるものがありそうですね。
南山|課題を探して活動するという面で、両者は近いと思います。RDUF小委員会の初期の活動に、研究データへ付与するライセンスの実態調査があります。ライセンスの付与には研究分野の考え方や慣習によって相違があるので、その違いを調査して「研究データの公開・利用条件表示ガイドライン」を作成しました。ウェブ検索した限りでは、徐々に国内大学・研究機関での活用が広まっているものの、実際に研究データ関連の業務をしているユーザーへ十分にリーチできていない面もあります。RDUFの立場からは、JPCOARがそれぞれの大学や研究機関の文脈でガイドラインを使って評価していただけると有難いですね。
熊﨑|RDUFの成果物のユーザーかつ評価者に、JPCOARの会員機関がなり得るということですよね。
南山|そうです。ガイドラインなどをつくる段階から連携していくことも、もちろん可能だとは思うんですけども。ただ、活動内容に近しい部分はありつつも、全くお話ししたことない人たちと新たに議論する場をつくるって結構難しいと思うので。
小林|確かに、RDUFとJPCOARで活動しているメンバーはそれほど重なっていないかもしれませんね。
南山|(メンバーの違いは)個人的にはコミュニティの性質の違いかなという気がしています。RDUFは有志の人たちが自分たちがやりたいことを実現するためにその場を使うというスタンスで活動していて、何か与えられた課題があるわけじゃないんですよ。その基本スタンスは外さずに、できないことは別のところでやればいいっていう、それだけの話だと思っています。JPCOARはどちらかというと、図書館や機関リポジトリコミュニティの課題を汎用的に解決するためにみんなでやりましょうという、実務志向の団体だと思っています。やりたいことというより、目の前に既に課題はあるわけですよね。
小林|性質の違いが把握できてきました。熊﨑さんも何か組織の共通点や違いを感じる部分はありますか?
熊﨑|RDUFは個として参加、JPCOARの作業部会は機関として参加という印象があります。でもどちらも共通するのは、参加者や参加機関が多くかつアクティブな方は限られているのかなと。ただ、機関としても個人としても、活動に参加して流れをつくることに加われるのがメリットだと思うので、そういう方がより出てくださるといいなと思います。
南山|確かに、活動することへの動機付けには違いがありそうですね。一点、活動に参加してくださっている方々に十分なものを返せているかには、悩ましいところがあります。自己の成長という観点だけではなく、機関としてRDUFやJPCOARに参加して得られることをもっと考えたいなと。
熊﨑|政策や学術情報流通が変化していますし、例えば情報発信ひとつとっても何が必要とされているか、というような機関や個人のニーズを考えるのも大事なんだろうと思います。でも幅広いんですよね、JPCOARは会員機関の規模も関心も。
南山|JPCOARの場合、会員機関のバラバラな関心をつなぐ仕組みがないことが一つの課題だと思っています。同じ問題で困ってるという声はいろいろな場で聞きますが、困っている人たちが困ってることを議論する場をJPCOARは提示できてないんですよ、恐らく。セミナーや各種シンポジウムで活動の発表は積極的に行ってきているけれども、発表をするだけでなく意見交換もするなど、関心をつなぐ仕組みがあるといいですね。
小林|個人的には、新任担当者研修はそういう場として機能していたかなと思っています。アーカイブによると現在はオンライン研修のようですが、少なくとも僕が受けたときはNIIでの集合開催でしたし。機関の大小はあっても新任者という共通の前提があり、情報共有がしやすかったと思います。機関の大小やリポジトリ担当者の体制など、それぞれの置かれた状況が変わっていくと思うんですが、その後のフォローアップの場はあまり多くないのかもしれないですね。
熊﨑|バックグラウンドが共有できるような、個別の悩みや状況に寄り添う場が必要なんでしょうか。JPCOARも地域研修をしていたことがありましたよね。
南山|機関リポジトリの実務担当者の多くは係員から係長クラスの方々だと思いますが、そうすると、その地域の単位での人的ネットワークが大事になるかなと。ただ、コロナ禍を経てオンライン化されてしまった難しさがありますね。
小林|はい、そういう意味では、今回のRDUFのシンポジウムに現地で参加したのはとてもよかったと個人的には思っています。オンラインだと同じ場にいる人の顔が見えませんよね。ポスターセッションでこれまで関わりがなかったけれど、共通の目標や課題を持っている人たちとお話しできたのが、僕にとってはかなりプラスだったという気がしています。自分がまだ考えつかなかった課題やそれに対するアプローチなどをお話ししていく中でつかめたのがよかったです。
南山|ありがとうございます。同じRDUF会員なので、ぜひ今後もお話していただけると次に繋がると思います。前の話題に引き付けて言えば、今回のライトニングトークの発表者は全員JPCOARの会員機関だったということですし、今後も互いにコンタクトして一緒に活動することもできそうですね。機会をとらえて1組でも2組でもオーバーラップする人が生まれたら、それは成功じゃないですか。
小林|なるほど。RDUFの小委員会や部会の活動は、いま図書館界で直面している問題の一歩先に行っているように感じました。そういう潮流についていくには、RDUFの活動に参加することでかなえられる部分があるのかなと思います。
RDUFとJPCOARの協働の可能性
小林|ここまで、RDUFとJPCOARの共通点や相違点、カルチャーなどの話が出てきました。ここからRDUFとJPCOARが将来どうなっていくとよいのか、協働の可能性について考えたいと思います。先ほどオーバーラップする部分や、成果物と評価の面での協働は話題になりましたが、ほかに見えてきたことはありますか?
南山|RDUFは割と新しい団体なので、イベントの共催などによってRDUFの活動紹介をしたり仲間を増やす議論の場を提供したり、という活動をしてきました。ですので、シンポジウムやセミナーの共催は、連携の仕方としてまず考えられそうです。翻ってJPCOAR研究データ作業部会の主査として考えると、現在もAXIESやNISTEPと協働でデータ分析をしているように、既に外部と連携しています。これは実務寄りの活動として設定したテーマを、ほかの団体の力を借りて行うという協働の仕方です。同様に、例えばRDUF企画委員会のメンバーの方々に「こういう知見が必要だからJPCOARと一緒に」とお声掛けするのもよいのかなという気はします。
小林|個人的には、今回RDUFのシンポジウムでは参加者の方々とのお話で得られるものが多かったので、イベントの共催はコミュニティ形成の場としても作用するという意味でいいんじゃないかなと思いました。
南山|これまでの議論を振り返って、たぶんRDUFは図書館の方にとって非常に参加しやすい学会なのではないかと思い始めました。一般的な学会は分野別ですし、図書館情報学の学会は幾つかありますけども、実務的な立場からはハードルが高く感じる面もあるかと思います。同じように実務のことを考えている学会ってそんなにあるわけじゃないですし。そういうふうに参加していただくのはとてもいいですね。
小林|そうですね。熊﨑さんも何かありますか。
熊﨑|私はこのウェブマガジンの記事がひとつの連携の試みです。JPCOARの広報・普及作業部会員としては、参加する方々のコミュニティの強化やお悩みの解決につながるような情報発信ができたらいいなと思って活動しています。一方、RDUFは勉強させていただこうと参加し始めました。小林さんと同様に、RDUFの多様な活動や視点そのものがとても参考になるので、JPCOARの皆さんにもお伝えしたいと思っています。RDUFとJPCOARは協働できることもあるでしょうし、でも組織の違いから、同じ課題に取り組んでも違う結果や違う議論になるのかもしれないですね。
南山|そういう意味では、合同で課題や取り組みを持ち寄る場があってもいいのかもしれないですね。お互いのシンポジウムやセミナーに個別に参加することはできますけれども、それはお互いの文脈でしかないので。特定の話題を共同で取り扱い、意見交換できると変わるのかなという気もしました。
熊﨑|自由に話したり事例を報告をしたりして、そこから課題発見や解決につなげる場があってもいいのかもしれないですね。
小林|外には出てこないけれど個別の機関がおもしろいことをやってるというのはどちらにも共通することですよね。だからそこでコミュニティ形成の可能性もあるし、お互いに考えてもみなかった課題や回答が得られるかもしれないですね。
南山|どういう場をつくればできるんだろう。イベント開催だけでなく後からも研究データ利活用に関する取り組みを見られるように、ウェブサイトをつくれるとよいかもしれません。JPCOARにはウェブマガジンがありますが、それだけではなく取り組みを顔の見えるかたちで紹介して一覧できるともっと交流が進むのかもしれないですね。イベントであればシンポジウムの予稿集のようなかたちで残るといいのですが。
小林|たしかに公開資料を手がかりにして、別のセミナーでもこの人の発表を聞きたいというモチベーションになることはあります。
南山|ひとつ、合同セッションを提案してみましょうか。RDUFとJPCOARで。同じ目的を持ってる人たちがその場で議論するというのがとても大事なポイントだと思います。発表するだけというよりは、参加者も発言できるような場をつくれるといいんですね。以前JOSSで熊﨑さんとも一緒にコンセプトが近いセッションを企画しましたね。
熊﨑|「機関リポジトリでの研究データ公開に向けたグループディスカッション」ですね。
南山|はい、同セッションではあくまで個人として機関リポジトリにデータを登録するときの課題の洗い出しをしていただきました。このときのように、例えば個人の実務的なお悩みを取り上げて向き合うのは非常に重要だと思います。議論や連携の糸口にしていければいいですね。
小林|具体的なイメージが出たところで、最後に、読者に一言お願いします。
熊﨑|私はJPCOARやRDUFについて知り、業務のなかでRDUFの「成果物」やJPCOARの「研修資料アーカイブ」や「セミナーまとめ」を使っていただきたいです。それから、何か困っているなら一緒に動いたりもがいたりしてみませんか、です。まずは個人が参加しないと組織の活動にもつながらないので、一緒に考えてくださる方がふえたらいいなと思っております。
南山|やっぱり実務担当者がどれだけやりやすくなるかが重要だと思います。RDUFとJPCOARの場合、研究データを扱うためにどう取り組むかを考えるのが共通テーマになると思いますが、担当者個人が悩みを解決できる場になればいいと思いますし、RDUFとJPCOARのお互いの立場からそれを支援する取り組みがどんどんできるとよいです。合同でできるところは合同でやって、おのおのの個性を発揮するところはおのおのでやって。そういういい関係が築ければいいなと思います。
小林|ありがとうございました。
ウェブページの最終アクセス日:2025年2月26日
※本記事は個人の見解に基づくものであり、所属組織を代表するものではありません。

話し手:南山泰之(国立情報学研究所)
もともとは某研究所のライブラリアンでしたが、目録好きが高じてメタデータの世界へ。最近では研究者のデータ管理行動そのものをモデル化してメタデータに落とし込もうとしています。オープンサイエンス、データキュレーションなどを研究キーワードにしつつ、実践指向のコミュニティ構築を目指して活動しています。

話し手:熊﨑由衣(千葉大学)
教員、コンサルティング企業(図書館、産学連携担当)、専門図書館を経て大学図書館にきました。”オープンサイエンス”なおしごとに関わってから、すこしずつ経験やご縁がつながってきたようにも感じます。いまはRDM教育や研究支援に関心があります。
